「中古住宅流通」という言葉を聞く機会が増えてきました。
スクラップ&ビルドの新築供給時代は終わり、中古住宅=ストックの活用が今後の住宅市場において重要な要素となります。特に私が活動する福岡市では、新築マンションの価格高騰が止まりません。
株式会社リクルートすまいカンパニーの調べでは、2018年福岡市内における新築マンション分譲平均価格は4,685万円、高嶺の華ではなく、まさに高値の華になっています。
そんな福岡市のもう一つの特徴として、中古マンションの豊富さが挙げられます。福岡市全世帯のうち約30%がマンションという「マンション化率の高さ」です。株式会社東京カンテイの調べでは、
「2018年特別区・政令指定都市」において東京23区に次いで2番目の高さとなっています。
このような事情を背景に福岡ではにわかにリノベーション需要が高まってきています。新築と比較して割安な中古を購入(さらに、古い物件ほど中心部の良い立地にあることも)、自身のライフスタイルにあった間取りに変更することで、経済的にも安心、そして新築同様の設備で暮らせることは大変魅力的です。
最近、複数のリノベーション会社と意見交換をする機会がありました。
その中でリノベーションのニーズが高い世代として、「高齢者層」が多いと聞きました。「バリアフリー」や「終の棲家」、郊外の戸建よりも鍵一つで戸締りできる都心のマンションへ、という「都心回帰」の動きが背景にあるようです。
また、ライフスタイルの多様性をリノベーションが後押し出来ることは喜ばしいという意見が多くでた一方で、高齢者層所有の自宅をリノベーションする際の不安の声も聞かれました。
例えば、
「認知症の母を介護するため、母の自宅をリノベーションしたい」というものですが、自宅の名義が母になっている場合、リノベーション工事を発注するためには「母の判断能力」と「費用支払い」が問題となってきます。
「もし私が認知症になったら、私の定期預金を崩して自宅を改装してね」と常日頃願っていたとしてもいざ認知症を発症してしまったら、自宅や預金の名義人ではないご子息では簡単に実行することはできないのです。
このような願いをかなえるために、判断能力があるうちに「家族信託」をしておきましょう。
将来、自宅のリノベーションを任せたいご家族に信託しておけば、認知症を発症したあとのリノベーションは、受託者となった家族の判断でスムーズに行う事ができます。
詳しくは最寄りの相続サポートセンターまでお気軽にご相談下さい。